藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
 そういえば、来客があると言っていたな、と思い出す。貴重品や仕事で使う資料がある書斎の鍵はかけてあるし、いつ来てもかまわないと言ってある。
「その子たち……幼馴染なんですが、ふたりには結婚が自由になるためなんだってこと言いました。ふたりはずっと一緒にいた子だから、バラすことはないし、知ってもらっている方がいいので」
 なにやら作業をしながら、藍は機嫌よく話をしている。
 レンジの中でオレンジ色に照らされる弁当を見ていた彬は少し煩わしい気持ちになった。無駄話に付き合うのはごめんだ。
 そんな彬の様子に気がついていないのだろう、藍がふふふと笑った。
「ふたりともびっくりしてましたよ」
 その話は俺にする必要はないと言うつもりで、彬は彼女を振り返る。
 お互いにメリットのある結婚で極力相手に協力しようとは思っているが、こちらとしても必要以上に我慢するつもりはない。必要のない話を自分にしないでくれと言っておかねばと思ったのだ。
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