藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
 だがそれを口にする前に、彼女を見て眉を寄せてフリーズした。
 ——彼女は、いったいなにをしているのだろう?
 いや包丁を手にしているのだから料理をしているのは間違いない。だが彼女の前には粉々になったじゃがいもが。
 皮を剥いている……のか?
「それは……。君はいったいなんの料理をしてるんだ?」
 気がつくと、さっきまでは一ミリも興味がなかったことを尋ねていた。
「シチューです。今はじゃがいもを切っているところです」
 なぜそんなことを聞くのか?と不思議そうに瞬きをして彼女は言う。
「……皮付きで?」
「まさか、皮を剥いているんですよ! ちょっと厚めになっちゃってますけど。……意外と難しいんですね」
 いやちょっとどころの話ではない。皮付きでカットしているのかと思うくらいじゃがいもは粉々だ。これでは食べる部分より捨てる部分の方が圧倒的に多い。
< 54 / 141 >

この作品をシェア

pagetop