藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
見合いの打診
都内の一等地にある三ツ星ホテルの大ホール。時代を感じさせる豪華なシャンデリアが輝く天井の高い空間に、大勢の人が集まっている。
ほとんどは、白川医科大のドクターと研究者、主催する製薬会社のMRである。堅苦しい挨拶はすべて終わり、今は立食形式のパーティータイムに突入した。
教授主催の飲み会を断るくらい人の集まりには興味がない彬が、大須賀製薬主催のパーティーには参加したのはある目的があってのことである。
シャンパングラス片手に彬は周囲に視線を送る。
白川医大側の出席者は彬に気がつくとギョッとする者もいた。普段こういったパーティーにはまったく参加しないので驚いているのだろう。
声をかけていいのやらと戸惑っているのがありありとわかる。その中で先陣を切ったのは教授の吉原だ。
「あれ、藤堂くんじゃないか。珍しいな君がこんな会に参加するなんて。いったいどういう風の吹き回しだ? 私の誘いは何度誘っても来ないのに。出るメリットがないとか言って」
「今回は出るメリットがありますから」
答えると、吉原の手がわなわなと震えた。
なぜ怒る?と彬は思う。自分で言ったことではないか。
「……なるほど、完全合理主義で、研究にしか興味がない君が来るほどのなにがあるんだね、このパーティーに」
「教授、申し訳ありませんがそれをお話しする時間はありません。私には予定ありまして、失礼」
話をしている途中で目的の人物を見つけた彬は早々に話を終わらせる。同時に身体が動いた。
「おい、こら」
背中で吉原の憤る声を聞きながら人の間を進み、途中ウエイターにシャンパングラスを託す。そしてたどり着いたのは、五十代の男性だ。
「大須賀社長」
呼びかけると、彼はすぐにこちらに気がついた。
「おお、藤堂くん」
「お久しぶりです」
ほとんどは、白川医科大のドクターと研究者、主催する製薬会社のMRである。堅苦しい挨拶はすべて終わり、今は立食形式のパーティータイムに突入した。
教授主催の飲み会を断るくらい人の集まりには興味がない彬が、大須賀製薬主催のパーティーには参加したのはある目的があってのことである。
シャンパングラス片手に彬は周囲に視線を送る。
白川医大側の出席者は彬に気がつくとギョッとする者もいた。普段こういったパーティーにはまったく参加しないので驚いているのだろう。
声をかけていいのやらと戸惑っているのがありありとわかる。その中で先陣を切ったのは教授の吉原だ。
「あれ、藤堂くんじゃないか。珍しいな君がこんな会に参加するなんて。いったいどういう風の吹き回しだ? 私の誘いは何度誘っても来ないのに。出るメリットがないとか言って」
「今回は出るメリットがありますから」
答えると、吉原の手がわなわなと震えた。
なぜ怒る?と彬は思う。自分で言ったことではないか。
「……なるほど、完全合理主義で、研究にしか興味がない君が来るほどのなにがあるんだね、このパーティーに」
「教授、申し訳ありませんがそれをお話しする時間はありません。私には予定ありまして、失礼」
話をしている途中で目的の人物を見つけた彬は早々に話を終わらせる。同時に身体が動いた。
「おい、こら」
背中で吉原の憤る声を聞きながら人の間を進み、途中ウエイターにシャンパングラスを託す。そしてたどり着いたのは、五十代の男性だ。
「大須賀社長」
呼びかけると、彼はすぐにこちらに気がついた。
「おお、藤堂くん」
「お久しぶりです」