恐怖探偵団と真夏の神隠し
ハーメルンの笛吹き男
夜はゆっくりと過ぎていく。キャンプ場は昼間の生徒たちの賑やかさを忘れたかのように静まり返り、月が青白い光を届けている。生徒も、教師も、誰もが眠り、穏やかな朝を迎えると信じていた。

「……ッ!?うぅ……!!」

麗奈は突然、何者かに体の上に乗られたような圧迫感に目を覚ました。目を覚まして気付く。指一本体を動かすことができない。

(もしかしてこれ、金縛り!?)

金縛りには、霊的なものとストレスなどが原因の二種類に分かれている。麗奈は手足が冷えていくのを感じた。霊感があると認めた日から、この手足の異常な冷えが何を示すか彼女は知っている。

(幽霊が、近くにいる!)

異能力を発動させたいものの、口も動かすことができない。麗奈が必死に体を動かそうとしていると、遠くから何かが聞こえてきた。

「観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五薀皆空」

(お経って、もしかして……!)

麗奈の体に冷や汗が伝う。刹那、麗奈の目の前で信じ難い出来事が起き始めた。深く眠っている蕾と鞠、そして桜がゆっくりと体を起こし、バンガローの外に出て行ったのだ。
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