イケメン双子兄弟×美少女双子姉妹の不器用すぎる甘い恋 ──私だけを見てくれる、たった一人に恋をした。──
それぞれの距離感、それぞれの夜
同じ頃、少し離れた別の帰り道。
双葉と智樹もまた、並んで歩いていた。
相変わらず無言のままの智樹に、双葉が恐る恐る声をかける。
「あのさ、智樹くん……今日、演劇を手伝ってくれてありがとう。大道具、すごく助かったよ」
「……別に。人手足りなかったから手伝っただけだし。お前が生徒会の仕事でフラフラだったから、見ててイライラしただけだ」
相変わらずツンとした態度を崩さない智樹だったが、その耳たぶは夕日とは違う赤に染まっていた。
双葉はその横顔を見て、ふっと優しく微笑む。
「智樹くんって、本当はすごく優しいんだね」
「はっ? どこがだよ。お前、目でも悪いのか」
「不器用だけど、ちゃんと周りを見て、誰よりも傷つきやすい人なんだって」
双葉のその言葉に、智樹はピタリと足を止めた。
いつも「しっかりお姉ちゃんでいなきゃ」と怯えていた双葉が、今は自分のことをこんなにも温かい目で見つめている。
智樹はバツが悪そうに前を向き直し、ボソッと言った。
「……お前さ、もう無理して『お姉ちゃん』ぶるの、本当にやめろよ。……俺の前では、そんなに気張らなくていいからさ」
その不器用な優しさに、双葉は小さく息を呑み、そして、これまでにないほど柔らかく、綺麗な笑顔を咲かせたのだった。