結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
 五十歳には見えない溌溂とした美しさを持つ紀代子は、小柄でありながらそこに立っているだけで不思議と視線を引き寄せる存在感があった。

 11年前に母が立ち上げたマリアージュ・アクシアは〝最適で最高な結婚のお手伝い〟をコンセプトに事業を着実に拡大させてきた。今では業界トップクラスの成婚率を誇っている。

 一方で、紀代子自身の〝人を見る力〟は鋭く、顔をみるだけでその人の性格や異性との相性がわかってしまう。彼女の目利きで引き合わせたカップルは数知れず、その多くが幸せな結婚へとたどり着いている。

 そんな特殊能力を持っているうえに、歯に衣着せぬコメントでも知られ、メディア出演も多い。

 〝婚活界の魔女〟――そう呼ばれるカリスマ的存在だ。

「もう、終わりましたので帰ろうかと。所長こそ取材を受けて戻られたところですよね。お疲れでしょう」

 透子はけじめをつけるために、仕事中は敬語を崩さないように心がけている。

「そうなんだけどね。あ、そうだ仕事熱心ついでに、ひとつあなたにお願いしたいことがあるの。ちょっといいかしら」

「お願い、ですか?」

「むこうで話しましょ」
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