結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
「兄さんに結婚相談所で婚活してるって聞いて、絶対質の悪い冗談だと思ったんだけど」

「俺も母さんに、相談所で活動しろって迫られられたときにはそう思ったよ」

 MSBの跡取りだった父と、老舗百貨店を営む一族の令嬢である母は政略結婚で結ばれた。

 ふたりの間に長男として生まれた迅は、幼いころから歴史ある企業の後継者として、祖父や父に厳しく育てられてきた。

 遊びよりも学びを優先され、幼いころから英会話や帝王学など数多くの教育を叩き込まれる。同年代の友人と気ままに遊ぶ機会はあまりなかった。

 母は愛情を注いでくれた。だが、迅の教育に関しては父が一切の主導権を握っており、口を挟む余地はほとんどなかった。
 夫婦間で交わされる会話は驚くほど少なく、子ども心に両親の仲は冷えて見えた。しかし彼らは外でだけ誰もが羨む〝理想の夫婦〟を演じる。

 母は常に〝真壁家の嫁〟として振る舞い、親族や使用人たちに気を配りながら息苦しそうに生きていた。
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