結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
 迅は素早くレストランシップの予約を手配し、強引に透子を乗せた。

『透子。気がかりなことがあるなら、なんでも話してほしい』

 デッキで夜の海を眺めながら、透子に水を向ける。彼女悩みを抱えているとしたら、少しでも吐き出させたかったし、昼間の男のことも気になっていた。

 すると、透子が愚痴だと前置きして、少しずつ話してくれた。どうやら男は透子に逆恨みしているらしく、人と深くかかわらなければいけない彼女の仕事の苦労を知る。

 さらに、彼女の口から飛び出したのは、これまで恋愛経験がないという告白だった。

(これまで、透子を手に入れた男はひとりもいなかったってことか)

 奇跡のような事実に驚くとともに、ほの暗い喜びが沸き起こった。

『誰かを恋愛対象として好きになったことがないんです』

 透子は両親の離婚、周囲から受けてきた誤解についても語ってくれた。そして、恋愛経験のない自分が婚活カウンセラーとして会員に寄り添えるのか不安であることも。

『透子の仕事に必要なのは、恋愛経験の数じゃない。人を幸せにしたいと思う熱意と、相手に誠実に向き合う覚悟だ。君にはもう、十分すぎるほど備わっていると思うが』
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