結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
 それは慰めでのつもりではなかった。事実をそのまま伝えただけだが、彼女は気持ちを切り替えられたようだった。

『恋愛音痴の私が、形だけでも男性との交際を体験できているのは、迅さんのおかげです。成婚退会までしっかり協力しますね』

 ふっきれたような言葉に、完全に一線をひかれていると痛感した。これまでの経緯を考えれば当然だった。

(半ば脅すようにして、この関係を始めたのは俺だからな)

――『仮に俺に惚れても、結婚できるなんて勘違いはしないだろう?』

 いつか透子に投げた自らの言葉が、ブーメランのように戻ってきて胸に刺さる。

(それでも、俺は君を絶対に逃さない。悪いが、覚悟してくれ)

 夜の海風に吹かれながら透子の細い肩を抱き寄せ、迅は心に決めた。どんな手を使っても彼女の最初で最後の恋人になる。そして、その先の未来も共に歩いていくと。
 
「結婚相談所のカウンセラーと付き合ってるなんて、嘘みたいな話だな」

 透子との交際の経緯をかいつまんで説明すると、恭弥は目を丸くして背中をソファーにあずけた。
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