結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
「透子は私に似てすごくかわいいんだから、その気になればすぐに恋人もできるし、結婚もできるわよ」

「残念ながら、恋愛する気はないし、今は自分の結婚より会員様の結婚かな」

 紀代子の軽口に苦笑しつつ、透子も席を立つ。母の欲目はさておいても、透子は華やかな顔立ちの母の特徴を色濃く受け継いでいる。
 しかし小柄な母と違って身長は百六十三センチあり、手足の長いスレンダーな体型だ。周囲からはクール系美人だと言われることがあり、うっかりするときつい印象になってしまうので、仕事中はなるべく薄化粧を心がけている。

「仕事がんばってくれてるのはありがたいけど、ないの? 理想の男性とか、プロポーズのシチュエーションとか」

 そう聞かれて、透子は少しだけ考え込む。会員たちは、活動を通して、自分にとっての理想を見つけ、ホテルのレストランやテーマパーク、海上クルーズなどで一世一代のプロポーズをしている。素敵だと思うし、成功すれば自分のことのように嬉しい。

 一方自分の身に置き換えてみると、少しも心が動かない。
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