結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
 透子は改めて、スマートフォンの画面に視線を落とす。そこに並んでいるのは、絵文字も砕けたやりとりもない、形だけのあいさつと、業務連絡にしか見えない日程調整だけだった。

(うーん、このふたり、すぐに交際終了しそう)

 透子はスマートフォンを片手に苦笑した。


 それから三日後の十七時四十五分、透子は眉間に皺を寄せつつ、足早に待ち合わせ場所に向かっていた。

(昼間のカフェをお勧めしたはずなんですけど……!)

 指定された待ち合わせ時間は十八時、場所は日比谷にある超高級ホテルのロビーだった。透子のアドバイスはことごとく無視されたのだ。

 ちなみに、最初のデートで昼のカフェを勧めているのは理由がある。適度に賑やかな場所でリラックスしてもらうためと、仮交際一回目のデートでディナーだと、精神的にも金銭的にもハードルが高いからだ。

(ラウンジで軽くお茶して解散なのかな。忙しい人だしありえなくはないか)
< 64 / 247 >

この作品をシェア

pagetop