結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
「あの、今日はここで食事を……?」
個室に通され、腰を下ろした透子は、スタッフが下がるのを見計らっておずおずと口を開いた。状況的にそうとわかっていても、聞かずにはいられなかった。
「ここなら落ち着いて食事ができるだろう?」
「いえ、全然落ち着きません……」
職業柄、プロポーズに使えそうな高級レストランの情報は把握しているが、ここはその中でも最高峰と言っていい。
クラシカルモダンな内装が落ち着きのある品格を漂わせる店内、高名なフランス人シェフが手がける洗練されたフレンチは、美食家の間でも評価が高い。味とホスピタリティ、そして値段も、すべてが一流――という知識があるだけで、実際は訪れた経験はない。
今は経営者であっても、母は元々一般家庭の主婦だし、離婚後しばらくはお金に苦労していた。だから、透子は贅沢とは縁のない環境で育っている。
自分には不釣り合いな場所に来てしまったようで、ひどく落ち着かない。ダスティブルーのワンピースは、派手にならないように選んだ無難なデザインだが、この格調高い空間では地味過ぎる気がした。
「私、昼間のカフェでお茶をするイメージでいたんですけど……」
個室に通され、腰を下ろした透子は、スタッフが下がるのを見計らっておずおずと口を開いた。状況的にそうとわかっていても、聞かずにはいられなかった。
「ここなら落ち着いて食事ができるだろう?」
「いえ、全然落ち着きません……」
職業柄、プロポーズに使えそうな高級レストランの情報は把握しているが、ここはその中でも最高峰と言っていい。
クラシカルモダンな内装が落ち着きのある品格を漂わせる店内、高名なフランス人シェフが手がける洗練されたフレンチは、美食家の間でも評価が高い。味とホスピタリティ、そして値段も、すべてが一流――という知識があるだけで、実際は訪れた経験はない。
今は経営者であっても、母は元々一般家庭の主婦だし、離婚後しばらくはお金に苦労していた。だから、透子は贅沢とは縁のない環境で育っている。
自分には不釣り合いな場所に来てしまったようで、ひどく落ち着かない。ダスティブルーのワンピースは、派手にならないように選んだ無難なデザインだが、この格調高い空間では地味過ぎる気がした。
「私、昼間のカフェでお茶をするイメージでいたんですけど……」