結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
《透子か、俺だ。もう家か?》

 迅の張りのある低い声が聞こえてきた。

「はい、少し前に。電話、珍しくてびっくりしました。迅さんは福岡から帰ってきたんですよね」

《ああ、俺も仕事を終わらせて家に帰ってきたところだ。それで、透子。明日出かけないか?》

「……え?」

 透子はポカンと声を漏らす。なにが〝それで〟なのかわからない。

《少しは休めと周りがうるさくて、明日休みを取った》

「それなら、ご自宅でゆっくり休んだ方がいいのでは」

《家にいても、仕事が気になるだけだ。それに、君が前に仮交際中は、休日デートも必要だって言っていただろう?》

「たしかにそうですけど……」

 前日の夜遅くに明日の外出を誘うなんて、急すぎないか。

「いつもながら、驚かされますね」

 思わず呆れた声が出たが、電話の向こうの迅に一切悪びれる様子はなかった。

《都合が悪いなら日を改めるだけだ。で、どうだ?》

「……明日はお休みなので、ご一緒したいです」

 なぜか今日はその強引さが心地よく感じ、透子は素直に提案を受け入れた。

「ちなみに、どこに行こうとかありますか?」
< 79 / 247 >

この作品をシェア

pagetop