結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
 彼に任せていたら都内の高級デパートかなにかに連れ出されそうな気がして、透子は問いかけてみる。

《そうだな、銀座か六本木あたりに行くか。透子は欲しいものはあるか?》

(やっぱり……!)

「あの、いつも迅さんにエスコートしてもらっているので、今回の行先は私が決めてもいいですか」

 予想の範疇の言葉が返ってきて、透子は咄嗟に主張する。せっかくの休みだ。上流階級の買い物のお付き合いは疲れそうなので、出来ることなら回避したい。

《構わないが、いいのか》

 どうやら迅の中には、デートは男性がリードすべきだという認識があるようだ。

 すべての女性が常に男性にリードされていたいわけではない。そう気づけたのも、初めて男性と交際した成果だろう。

「明日は私が迅さんをエスコートします」

《へぇ、それは楽しみだな》

 愉快そうな声が返ってくる。彼と話している内に、この部屋へ戻ってきたときに感じていた重苦しい気持ちが、少しだけ軽くなっていた。



「わざわざ、迎えにきてもらってすみません」

「俺も車で移動するつもりだったから、気にするな」
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