冷徹営業トップは私の限界オタクでした
お会計を済ませ、外へ出る。
ふらふらの陽菜子の手を肩にかけ、腰を支える。
公園で助けられたあの夜とは反対に、今夜は神崎が陽菜子の身体を支えていた。
「ちくわくーん。おんぶして。」
甘えるような声とともに、陽菜子が神崎の背中へ腕を伸ばす。
神崎は夜空を仰いだ。
(神様。これは、耐えろという試練でしょうか)
「おんぶは……っ」
断ろうとした神崎だったが、陽菜子が足をもつれさせ、慌てて抱き留めた。
神崎の腕に抱き留められた陽菜子は、彼の髪へゆっくりと手を伸ばした。
「ちくわくんと一緒だ。」
「……無理です。尊すぎます……」
神崎は膝から崩れ落ちる。
神崎が膝をつくと、陽菜子はおんぶの準備をしてくれたのだと思ったらしい。
嬉しそうに、その背中へ覆いかぶさった。
「おんぶ。」
「ギャアッ……!」
背中へぴたりと密着された。
近すぎる体温と柔らかな感触に、神崎の思考は完全に停止した。
自宅まで、わずか五分。それなのに神崎には、その道のりが永遠のように感じられた。