冷徹営業トップは私の限界オタクでした

第27話「あなたと手をつなぎたいです。」

領収書の確認を終え、陽菜子はまだ少し火照った顔のまま営業部をあとにした。
経理部へ戻る途中。

「春宮さん。」

後ろから呼ばれ、陽菜子は振り返った。

「白石さん?」

白石は少し気まずそうに視線をそらす。

「……前は、すみませんでした。春宮さんに意地悪したこと。」

「え?」

「神崎さんのことで嫉妬してました。でも、あんなことしていい理由にはならないので。」

「白石さん……。」

「謝るのはこれで終わりですからね。」

そう言った白石は、すぐにいつもの強気な表情へ戻った。

「それより、神崎さんと付き合ったんですって?」

「あ……はい。」

「なのに、まだ手もつないでないとか。」

陽菜子の顔が赤くなる。

「な、なんでそれまで……。」

「営業部で広まってますよ。」

白石は呆れたようにため息をついた。

「そんな調子なら、私また神崎さんにアピールしちゃいますよ?」

「えっ!?」

「嫌なら、もう少しくらい恋人らしくしたらどうです?」

白石はにやりと笑う。

「神崎さん、春宮さんと話してるときだけ、びっくりするくらい顔が柔らかいんですから。」

「……そうなんですか?」

「本当に気づいてないんですね。」

白石は小さく笑った。

「せっかくそこまで好かれてるんだから、ちゃんと捕まえておいたほうがいいですよ。」

そう言い残し、白石は営業部へ戻っていった。

「……捕まえる。」

陽菜子は自分の手を見つめた。
そしてふと、神崎の大きな手を思い浮かべた。

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