難攻不落な御曹司の独占欲と愛に蕩される

「桐谷 樹…さん」

動かない小鳥遊に、道を譲るよう肩を押す桐谷さんのおかげで、道が開けた。

「兄が待ってますので、失礼します」

素早くそこを抜けていくが、小鳥遊が手を伸ばしてくる。

「…西園寺さん」

「おっと…失礼。手が出てくると思わなかった」

その手を邪魔するように動いた桐谷さんのおかげで、捕まることなく庭園から抜け出せた。

「麗華、探したぞ」

「ごめんなさい」

なかなか戻らない私を心配した兄とホールで合流し、追いかけてきた小鳥遊に捕まることなく済んだのは、彼のおかげだろうと庭園を振り返る。

ホールから見える庭園の軒下で、先程の桐谷さんがタバコに火をつけて佇む姿を見つけ、目が離せずにいた。

さっきのあれは、助けてくれたんだよね?

そう思うと、彼がヒーローのように見えてくるのだから、不思議だ。

「麗華?」

「今、行きます」

兄の後を追いかけて会場に戻ったのだが、彼が気になって仕方ない。

しばらくして戻ってきた彼を、視線で追いかけていた。

光沢のある黒のオーダーメイドのスーツは、後ろ姿さえも、スタイルの良さを教えてくれる。

彼の隣にいる男が振り返り、周囲を観察している様子。

彼とよく似た顔立ちと体格だが、こちらは、オーダーメイドのスーツを少し着崩し、前髪を下ろした髪型は茶髪で、年齢的に彼よりも若いようだ。
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