君と迎えるクランクアップ

『君と迎えるクランクアップ』あとがき

[早乙女優愛 目線]

ずっと言えなかった気持ちを、ようやくドラマのセリフに乗せるように彼に伝えることができて、心の底からホッとしています。
スポットライトの当たらない場所で、いつも私だけを見つめてくれていた塁の背中は、昔も今も私にとって世界で一番安心できる場所でした。
マネージャーと女優という壁があったからこそ、素直になれないもどかしさもありましたが、そのおかげで彼の大きな優しさを誰よりも近くで独り占めできた気がします。
制服姿で照れていたあの日の恥ずかしさも、今となっては私たちの大切な思い出のワンシーンです。
これからは、カメラ越しではなく、隣に並んで本当の「イチバン」を歩いていけることが何よりも幸せです。
世界中がどんなに私に歓声を向けても、私の特別席はずっと彼の隣だと決めています。
ねえ塁、これからは仕事のスケジュールだけじゃなくて、私たちのプライベートの予定も、しっかり管理してよね。なんて言いながら、結局は甘えてしまう私の未来を、彼はきっと優しく笑って受け止めてくれるはずです。
大好きな人と迎えたこのクランクアップの先には、きっとまだ誰も見たことのない最高のハッピーエンドが待っていると信じています。






[神楽塁 目線]

大人気女優のマネージャーという立場を言い訳にして、この想いを胸の奥に閉じ込め続けた日々に、ようやく自分で「カット」をかけることができました。
現場の隅で彼女の眩しい制服姿を見るたび、昔のくだらない思い出と、いま目の前で輝く彼女への焦燥感で頭がおかしくなりそうだったのはここだけの秘密です。
他の男と親しげにする姿に勝手に嫉妬して、不機嫌な顔を隠すのには毎日本当に苦労させられました。
それでも、カメラが止まった控室や薄暗いセットの裏側で、不器用ながらも必死にぶつかってきてくれた彼女の熱が、冷めかけた理性を何度も揺さぶってきたのです。
マネージャー失格と言われる覚悟で踏み出したあの瞬間から、僕たちの本当の物語が始まったのだと今なら胸を張って言えます。
これからは公私ともに彼女を支える最高のパートナーとして、その隣を堂々と歩いていくつもりです。
世間の目は少し面倒かもしれないけれど、世界で一番可愛いわがまま女優の相手ができるのは、世界中でこの僕しかいません。
ドラマの台本にはない、ふたりだけの甘くて少し不器用な日常を、これから何度でも更新していこうと思います。

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