最強の吸血鬼たちに執着されています
錠剤。

これがないと、私は生きていけない。
私を隠す薬。

理人さんには、感謝してもしきれない。
これまで私を育ててくれたこと。
そして、この薬を開発し、私のために与え続けてくれていること。

すべては、彼の研究があったからこそ成り立っている。

だから両親も、私を理人さんに託したのだと思う。


それからしばらく談笑をし、朝食を済ませた。
部屋へ戻ると、綺麗に整えられた制服を手に取る。

今日から私が袖を通す、アルカディアの制服。
豪華な学園。
国を代表する象徴。
その名に恥じない、格式ある制服。
セーラー服を基調とし、黒と赤のツートーンでまとめられたデザイン。
深みのある色合いと上質な生地、細部まで施されたフリルやレース。

私は制服に着替え、黒く長い髪を丁寧に整える。
薄く化粧を施し、鏡に映る自分を確認してから部屋を出た。

「似合っていますね、朱莉さん」

リビングへ向かうと、理人さんが優しく微笑んだ。

「ありがとうございます!」

素直に礼を言うと、理人さんは少し表情を引き締める。

「ですが……いくらアルカディアとはいえ、吸血鬼がいる場所であることに変わりはありません。十分、気をつけてください。特に、吸血鬼とは必要以上に関わらないように。目立つ行動も避けてくださいね」

「もし何かあれば、すぐに保健室へ来てください」

「はい!」

理人さんは、何度も何度も同じことを繰り返した。

アルカディアは、吸血鬼と人間が共に通う特殊な学園。
けれど、安全対策は世界でも最高水準だと聞いている。
きっと、大丈夫。

「それと、明日からは寮生活になりますから、忘れ物がないようにしてくださいね。荷物は事前にある程度運んでありますが」

「今年から私も学園内の社宅に住むことになりましたから」

アルカディアは全寮制。
外部から隔離された環境だからこそ、高い安全性を誇っている。

私の入学に合わせて、理人さんも学園内へ移ることになったらしい。
そこまでしてもらうことに、少し申し訳なさを感じる。
その気持ちが表情に出ていたのか。

「大丈夫ですよ」

理人さんは穏やかに笑った。

「研究室に近い方が、遅くまで研究できますから」

その言葉に、少しだけ心が軽くなる。

私は長く過ごした家を振り返った。
今日で、この家とも一旦お別れ。

理人さんは家の用事を済ませてから向かうらしい。
私は一人、アルカディアへ向かって歩き出した。
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