無口な彼の、静かな執着が甘すぎる。



いや……聞き間違いだね、さすがに。
なに都合のいい解釈をしているんだ、私は。

疲れているから、きっと変な妄想をしていたんだ。
普段は冷たい柳さんが、私にだけ優しい!!……なーんて妄想を、頭の中でしていたんだろう。

うん、絶対そうだ。
あの柳さんが、あんなことを言うはずもないもの。




「あっ、買い物して帰らないと、冷蔵庫の中なにもなかったな……」




ただでさえ色々とありすぎた一日だったのに、ご飯のことまで気が回らないよ……。
誰か、私をメロメロに甘やかしてくれる彼氏になってください。年内にはほしいです、彼氏。





「あれっ、長島さん?長島さんだよね!」




……なんだか今日は、嫌なことが続く。
この人、誰だっけ……。




「えー、忘れちゃった?ほら、糖尿病で入退院を繰り返してる太田だよ!」

「あっ、太田さん!お久しぶりです。あれからお体の調子はどうですか?」





もう仕事は終わっているんだけどな。
こういうことにもちゃんと対応しないと、病院にも迷惑がかかっちゃうし。

……仕方ない。





「見てみて、お菓子がいっぱいあるでしょ?」

「また入院コースになりますよ。先生からも、食べすぎていたらお薬も効果が出なくなるって説明があったはずです」

「うん、知ってる。わざと悪化させてるの」





なんで、わざわざ悪化させてるの……?

セクハラをされてもグッとこらえて、ただ元気になってほしいという一心で色々とサポートをしてきたのに。どうして……。





「だって退院したら、長島さんと会えなくなるでしょう?だから、会うためには病院に戻るしかないじゃないか」

「戻らなくていいんです!健康がいちばんなんですよ。私に会うことを目的に悪化させないでください」

「まあまあ、そんな悲しいこと言わないで。せっかく会えたし、立ち話もなんだから、すぐそこのホテル……行こ?」
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