白い結婚で捨てられた王妃は、「あなたのために王になります」と言った義弟の手を取る
怒りで震えるクラウスを尻目に、レオンハルトは余裕たっぷりに会場の貴族たちを見回す。
「それに、一つ言っておきますが、僕の味方は、騎士団長だけじゃありませんよ。そうですよね?」
レオンハルトが呼びかけると、大広間中に拍手が巻き起こった。
そう。国のほとんどの貴族には根回し済みだ。セレスティーヌも根回しに関する協力は惜しまなかった。
もともとクラウスの王としての求心力は低い。まともな貴族は、セレスティーヌへの側妃降格の宣言を見て、彼を密かに見限っていた。セレスティーヌの軽視は、そのままアルヴェリアを軽視していると取られることに気づいていたからだ。
元々、クラウスの代わりにレオンハルトが実務を代行していたのは、知る人ぞ知る事実。反発は意外なほど少なかった。
貴族たちに笑顔を向けるレオンハルト。その光景にクラウスが言葉を失っている。
どちらかが王にふさわしいかなど、一目瞭然だ。
「ここにいる貴族たちのほとんどは僕たちの味方ですよ。あなたが一部の自分に都合のいい家だけを優遇するから、ずいぶん不満がたまっていたみたいですね。その貴族たちも、あなたを見捨てたようですけれども。安心してください。兄上を裏切った貴族たちは僕が代わりに裁いて差し上げますから」
貴族の一部がざわめく。ここでレオンハルトについておけば過去の悪事をうやむやに出来ると考えていたのだろう。しかし、彼がそれを許すわけもなかった。何人かの貴族たちがぎくりと身体を震わせたのがわかる。
「ちなみに、カーラ殿を正妃にしたのが破滅の始まりでしたね。彼女に何を言われたかはわかりませんが、セレスティーヌ様をそのまま正妃に据えておけば、あなたもきっとまだ玉座に座っていられたでしょうね」
なっ、とカーラが顔を真っ赤にしているが、数人の貴族がちらりと視線をやっただけで、あとは無視だ。
レオンハルトはゆっくりとクラウスの方に近づいていった。
レオンハルトの迫力に推されているのか、クラウスが後ずさろうとして、玉座に倒れるように腰を落とした。
ついに、玉座の前に立ったレオンハルトが、無様な格好で座っているクラウスを見下ろす。
「終わりです。兄上。あなたの存在はこの国にとって害悪にしかならない」
静かにそう宣言する。
「安心してください。あなたの育った環境を考慮して幽閉にとどめておきますから。とりあえずは地下牢で沙汰を待っていただきましょうか」
レオンハルトが手を上げると、騎士たちがクラウスの身柄を拘束する。完全に騎士団がレオンハルトの傘下にいることの証明だった。
「レオンハルト! この簒奪者が!」
騎士たちに引きずられながらクラウスが叫ぶが、レオンハルトは動じない。
「なんとでも言ってください。この国のためですから」
セレスティーヌが引きずられていくクラウスを見送っていると、ふと彼と目線があった。
「セレスティーヌ! お前、私を見捨てるつもりなのか?」
みっともなく叫ぶクラウスは、キラキラした服を着ているが、矮小な人間にセレスティーヌには映った。
(――ああ。こんな人にわたくしは今まで傷つけられてきたのね)
「見捨てる? わたくしを最初に捨てたのはあなたです」
「それに、一つ言っておきますが、僕の味方は、騎士団長だけじゃありませんよ。そうですよね?」
レオンハルトが呼びかけると、大広間中に拍手が巻き起こった。
そう。国のほとんどの貴族には根回し済みだ。セレスティーヌも根回しに関する協力は惜しまなかった。
もともとクラウスの王としての求心力は低い。まともな貴族は、セレスティーヌへの側妃降格の宣言を見て、彼を密かに見限っていた。セレスティーヌの軽視は、そのままアルヴェリアを軽視していると取られることに気づいていたからだ。
元々、クラウスの代わりにレオンハルトが実務を代行していたのは、知る人ぞ知る事実。反発は意外なほど少なかった。
貴族たちに笑顔を向けるレオンハルト。その光景にクラウスが言葉を失っている。
どちらかが王にふさわしいかなど、一目瞭然だ。
「ここにいる貴族たちのほとんどは僕たちの味方ですよ。あなたが一部の自分に都合のいい家だけを優遇するから、ずいぶん不満がたまっていたみたいですね。その貴族たちも、あなたを見捨てたようですけれども。安心してください。兄上を裏切った貴族たちは僕が代わりに裁いて差し上げますから」
貴族の一部がざわめく。ここでレオンハルトについておけば過去の悪事をうやむやに出来ると考えていたのだろう。しかし、彼がそれを許すわけもなかった。何人かの貴族たちがぎくりと身体を震わせたのがわかる。
「ちなみに、カーラ殿を正妃にしたのが破滅の始まりでしたね。彼女に何を言われたかはわかりませんが、セレスティーヌ様をそのまま正妃に据えておけば、あなたもきっとまだ玉座に座っていられたでしょうね」
なっ、とカーラが顔を真っ赤にしているが、数人の貴族がちらりと視線をやっただけで、あとは無視だ。
レオンハルトはゆっくりとクラウスの方に近づいていった。
レオンハルトの迫力に推されているのか、クラウスが後ずさろうとして、玉座に倒れるように腰を落とした。
ついに、玉座の前に立ったレオンハルトが、無様な格好で座っているクラウスを見下ろす。
「終わりです。兄上。あなたの存在はこの国にとって害悪にしかならない」
静かにそう宣言する。
「安心してください。あなたの育った環境を考慮して幽閉にとどめておきますから。とりあえずは地下牢で沙汰を待っていただきましょうか」
レオンハルトが手を上げると、騎士たちがクラウスの身柄を拘束する。完全に騎士団がレオンハルトの傘下にいることの証明だった。
「レオンハルト! この簒奪者が!」
騎士たちに引きずられながらクラウスが叫ぶが、レオンハルトは動じない。
「なんとでも言ってください。この国のためですから」
セレスティーヌが引きずられていくクラウスを見送っていると、ふと彼と目線があった。
「セレスティーヌ! お前、私を見捨てるつもりなのか?」
みっともなく叫ぶクラウスは、キラキラした服を着ているが、矮小な人間にセレスティーヌには映った。
(――ああ。こんな人にわたくしは今まで傷つけられてきたのね)
「見捨てる? わたくしを最初に捨てたのはあなたです」