朝日有希の本当の名前を、僕はまだ知らない
次、有希は湊月の教室へ行きたいというので、向かった。

「ねぇ、好きな科目ってなに?」

「体育」

「嫌いな科目は?」

「保健体育」

「先輩の嘘つき」

「ハハ、有希は?」

「国語が好き。でも授業ならなんでも良いよ」

「何それマジメか」

「新は?」

「自分も体育ですね。体育以外寝てるッス」

「起きなさいよ、バカ」

「うわ、有希。新はまだ有希の罵詈雑言に慣れてないんだからやめろよ」


有希は無視して、カメラで写真を撮ってる。


「こういうのが青春ってやつね」

「次、どこ行く?」

「体育館」

「いいよ、行こう」

松葉杖をつく手がほんの少しだけ震えた。
みんなの前で倒れて。
あれから一度も来ていない。

骨肉腫でもうすぐ死ぬ僕が今更行ったって……

「湊月、何度でもやり直せるよ」

何わかったようなこと言うんだよ。
それでも自然と体育館に向かってた。
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