「俺の、彼女」

第3話 「2人だけの放課後」

文化祭の準備が始まった。

俺と蒼空、そして栞は、
買い出し係になった。

「木村、よろしくね〜。」
蒼空が笑う。

「よろしくね、木村君。」
栞も小さく頭を下げた。

「木村君、明日なんだけどさ。
さっそく買い出しに行かないといけなくて。
予定、空いてる?」

「大丈夫。」

「じゃあ、帰りのホームルームが
終わったら、自転車置き場で待ち合わせね。
三人で買いに行こう。」

「了解。」




………翌日。

自転車置き場へ行くと、
待っていたのは栞だけだった。

「蒼空がね、塾あるの忘れてたみたいで。
来られなくなっちゃったの。」

「そうなんだ。」

「二人でも買える量だから……いい?」

「別に大丈夫だけど。」

何となく、
蒼空が変な気を回したんじゃないか。

そんな気もした。

でも、考えるのはやめた。

「まずはホームセンターで軍手とガムテープを買って。
そのあと、大きな模造紙を買う予定。」

栞はメモを見ながら読み上げた。

「了解。」

俺たちは、
並んで店へ向かった。



メモを見る栞。

俺は、
買い物かごを持つ。

二人で軍手を探し始めた。

「あった〜!」

栞が嬉しそうに笑う。

俺は思わず、微笑んだ。

元気そうで、よかった。

残りの物も見つかり、会計を済ませる。

「予想以上に早く済んだね。」

「そうだな。」

少し沈黙が流れる。

「……栞。」

「なに?」

「ちょっと小腹すいたから、
マックでも寄って帰らない?」

「あぁ〜、いいね。」

俺たちはマックで注文を済ませ、
カウンター席に座った。

ポテトをつまみながら、
何となく話をする。

思いつきで誘ったわりには、
悪くない時間だった。

俺は少しだけ、
満足していた。

「木村君。」

栞がポテトを口に運びながら、
話し始める。

「私、あれからね。
和真と別れたんだ。」

「知ってる。蒼空から聞いた。」

「なんだ、聞いちゃってたか。」

「うん。ごめん。」

「ううん。別にいいの。」

栞は首を横に振った。

「栞、前に進めた?」

「うん。
木村君のお陰かな。」

「そんなことないよ。」

「あの時、木村君が
あんな風に言ってくれなかったら。
私、今頃まだ泣いてたかも。」

「泣いてる栞は、見たくないな。」

「え?」

「栞は、笑ってる方が似合う。」

「そう?」

「そうだよ。
……いつも見てきたから。」

「え?いつも?」

「あ……。」

しまった。

口が滑った。

「クラスメイトとしてさ。」

慌てて言い直すと、
栞はくすっと笑った。

「ありがとう。

………こうやってさ、約束もしないで
寄り道するのって、なんか嬉しい。」

「そう?」

「うん。なんでかな。
木村君だからかな。」

俺は、
コーラを持つ手を止めた。

栞を見る。

「ふふ。そんなに驚かなくても。」

「……驚くだろ。」

少しだけ黙る。

もう、
ごまかせないと思った。

「ずっと好きだった子に、
そんなこと言われたら。」


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