この恋、上方修正銘柄です!
Lesson2 図書館と歓迎会
2-1

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融資窓口を訪れる人の波が途切れる。
相談コーナーにある備品が乱れているので直しておこうとカウンターから出た時、リュックを背負った旅行者と思しき欧米系外国人男性が入って来た。
話しかけられた窓口係の若宮は困っている様子で、助けに行こうと思った時、九条がすっとやって来て男性に声をかけた。
「Thank you so much. Have a great day!」
旅行者が去った後、若宮は頬を上気させながら、
「日本育ちって聞いてたのに、すごすぎません?英語話してるときの九条さん、かっこよすぎて反則ですよお」
「10年も向こうに住んでたら、日常会話はそれなりにね」
「私も英語話せるようになりたいなぁ……九条さんが先生になってくれたら、めっちゃ頑張れるのに」
上目遣いでそう言った若宮は、昨年度の新入行員の中で一番可愛いと評判だった女子で、自分の容姿が武器になることをよく知っている。男なら大抵、なら俺が手取り足取り教えてあげるよという提案をしてしまうだろう。
周囲の先輩女子からの殺気を帯びた視線もなんのその。確かにその位の図太さがなければ、ミスキャンパスという冠をかぶることなんて出来ないだろう。
それにしても。
「10年……」
高校卒業後に渡米して、ちょうど10年だ。
ふいにこちらを向いた九条と目が合う。
「どうかした?高辻さん」
「あ、いえ、何でもありません」
恨めしげな若宮の視線が痛い。恋路の邪魔をされたなどと思われても心外なので、中断していた作業に戻った。