この恋、上方修正銘柄です!
7-4
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検査官達はフロアの最奥でファイルのチェックをしている。
融資課長の乾がひっきりなしに呼びつけられ、ペコペコ頭を下げながら対応に追われているのを眺めていた九条が不思議そうに尋ねる。
「なに、アレ?」
「検査官は支店長経験者が多いんです」
東山がPCのエンターキーを軽く叩いた。と、ほぼ同時にプリンタが動き出す。志水と船岡は醒ヶ井渉外課長と打ち合わせ中だ。
「過去の稟議書を見せろから始まって、決算書が足りないとか、資金繰表を出せとか、担保物件の最新写真を撮って来いとか。あれこれ資料を出せと言われるので、期間中は仕事になりません。担当の渉外もあちこち駆け回る羽目になります」
東山はプリンタから出力された用紙を取って、九条に差し出す。
「決裁お願いします」
そして決裁印をもらうと、
「次長と部長に決裁もらって来ます」
と席を立った。
「仕事が早いなあ東山は。ちょっと押しが弱いけど、それはそれで銀行員向きや」
残っているのが錦だけになった途端、関西弁の九条に切り変わる。
頬杖をついて東山の動きを目で追う九条を見ながら、さっき東山が顧客から預かって来た代金取立て用の約束手形を九条に渡していたのを思い出し、代わりに処理しておこうと、
「九条さん、代手下さい」
途端、九条は立てていた肘をガタッと崩して、
「……え?な、なななんや突然……!今!?」
「はい」
「いや、うん……。けど、さすがに仕事が終わってからじゃないと……」
そんな時間から現物を貰っても困る。ふざけているのだろうか。
「そんなに待てません。早く、代手」
「って、そんな急に大胆になられても……。そういうのもギャップ萌えっていうか、全然嫌いじゃないけどやな……」
モジモジした様子で首の後ろをさする九条に小首をかしげていると、どこからともなく志水がやって来て、決裁トレイに入っていた五百万の約束手形をぴらと手に取ると、
「九条室長、これです。銀行用語で代金取立手形、略して代手(ダイテ)」
どうぞ、と錦に渡し、自分の席に戻ると何事もなかったように仕事を始めた。
「あ……」
呟くと同時に、顔の下半分を隠すように掌で覆った九条の耳が赤い。
そこでようやく錦にも理由が分かって、ゴンと机に突っ伏した。
検査官達はフロアの最奥でファイルのチェックをしている。
融資課長の乾がひっきりなしに呼びつけられ、ペコペコ頭を下げながら対応に追われているのを眺めていた九条が不思議そうに尋ねる。
「なに、アレ?」
「検査官は支店長経験者が多いんです」
東山がPCのエンターキーを軽く叩いた。と、ほぼ同時にプリンタが動き出す。志水と船岡は醒ヶ井渉外課長と打ち合わせ中だ。
「過去の稟議書を見せろから始まって、決算書が足りないとか、資金繰表を出せとか、担保物件の最新写真を撮って来いとか。あれこれ資料を出せと言われるので、期間中は仕事になりません。担当の渉外もあちこち駆け回る羽目になります」
東山はプリンタから出力された用紙を取って、九条に差し出す。
「決裁お願いします」
そして決裁印をもらうと、
「次長と部長に決裁もらって来ます」
と席を立った。
「仕事が早いなあ東山は。ちょっと押しが弱いけど、それはそれで銀行員向きや」
残っているのが錦だけになった途端、関西弁の九条に切り変わる。
頬杖をついて東山の動きを目で追う九条を見ながら、さっき東山が顧客から預かって来た代金取立て用の約束手形を九条に渡していたのを思い出し、代わりに処理しておこうと、
「九条さん、代手下さい」
途端、九条は立てていた肘をガタッと崩して、
「……え?な、なななんや突然……!今!?」
「はい」
「いや、うん……。けど、さすがに仕事が終わってからじゃないと……」
そんな時間から現物を貰っても困る。ふざけているのだろうか。
「そんなに待てません。早く、代手」
「って、そんな急に大胆になられても……。そういうのもギャップ萌えっていうか、全然嫌いじゃないけどやな……」
モジモジした様子で首の後ろをさする九条に小首をかしげていると、どこからともなく志水がやって来て、決裁トレイに入っていた五百万の約束手形をぴらと手に取ると、
「九条室長、これです。銀行用語で代金取立手形、略して代手(ダイテ)」
どうぞ、と錦に渡し、自分の席に戻ると何事もなかったように仕事を始めた。
「あ……」
呟くと同時に、顔の下半分を隠すように掌で覆った九条の耳が赤い。
そこでようやく錦にも理由が分かって、ゴンと机に突っ伏した。