この恋、上方修正銘柄です!
Lesson8 卒業と軋む病院のベッド
8-1

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慌ただしい空気が漂う月初めの月曜。
「駅前再開発事業の件、シンジケートローンの実行日が決まりました。15日の火曜です」
東山の報告に、おお、と声が上がる。
「やっとここまで来たな。東山はボロワーから書類の手配と回収、志水は各金融機関へのレートの確認と振込先口座の通知。船岡は実行日までのスケジュールを立ててくれ」
「不動産ファイナンスの方はどうなりましたか」
「ノンリコースローンによる調達でほぼ決まり。明日先方とのアポが入ってる。東山、一緒に来るか?」
「勿論です。早速書類を準備します」
「えー、いつも東山さんや志水さんばっかり。たまには僕も連れてって下さいよー」
東山がからかうように、
「お前は受付の子に会いたいだけだろ」
「それが、今度飲み会しようって誘ったら、九条さんが来るならって条件出されて。九条さん、モチロン行くッスよね?……って痛っ!志水さん、太腿に何ペン先突き刺して来てんスか!」
「悪い、手が滑った」
「悪意しか感じないし!」
活気づくチーム内で、錦は入行以来、初めて時間を持て余していた。九条以下、誰も仕事を回してこないからだ。暇過ぎて電話を取るくらいしか仕事がない。
「鹿ヶ谷次長!2番、オノさんからお電話です」
はーい、と手を上げる姿を確認して前を向くと、何故か注目されていた。
「な、なんですか」
「電話番なんかしてないで、高辻は試験勉強でもしてろ」
「そうですよ。僕、当日の午前中は、外回りに行くフリしてネットカフェで勉強してましたから。みんなそんなもんですよ。なあ志水」
「僕は仕事してました」
「げ、そうなのか」
「冗談です」
「志水さん、真顔で冗談言うの止めた方が良いスよ?」
「皆さんの心遣いは嬉しいですが、今ここで参考書を開いても、何も頭に入って来る気がしないので。特に仕事がなければ融資課を手伝ってきます」
「……高辻さんって、貧乏性スねえ」
呆れている風にも褒めている風にも聞こえる船岡の呟きに皆が同意した。