この恋、上方修正銘柄です!

8-2

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「高辻、顔貸して」
 卒業式が終わって教室へ戻る前、九条に呼び出された。

「俺、ちょっとアメリカ行ってくる」

 近所にでも出かける位のテンションで告げられ、そうなんだ、と答えると、九条は拍子抜けしたような顔をした。
「って、あんまりビックリしてないみたい」
「なんとなく、そんな気がしてたから」
「ウソ、なんで?」
「プレイヤーのイヤホンで聞いてたのは音楽じゃなくて英会話だった。図書館ではアメリカ関連の旅行書を借りてたし。バイトばかりであんまり会えないって、綾乃が嘆いてた。きっと資金が必要なんだと思ってた」
「名探偵高辻……」

「それで、出発はいつ?」
「明日の朝一。格安の航空券、その日しか取れんかったから。パスポート取るんもちょっと手続きに手間取って時間かかったし、あれもそれもギリセーフ、みたいな。親父と交渉してなんとか1年だけ猶予もらえたし、ちょっと修行の旅に行って来る」
「綾乃にはちゃんと説明した?」
「フラれた。遠距離恋愛なんてありえへん、ってさ。高辻、慰めてー」
「大丈夫。そんなこと言ってても、綾乃だったら待っててくれる。そういう健気なところあるから、あの子」

「……ああ、そうかもな」
 目を伏せ、九条が笑った。
 少し困ったような、見ていて胸が痛くなるような笑顔だった。 

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