この恋、上方修正銘柄です!

 数年ぶりに話した佐藤は、錦が知っている優しい佐藤のままだった。
 佐藤は医学部、錦は経済学部に合格。同じ大学といってもキャンパスは別で、いずれ疎遠になっていくのかと思っていたから、告白された時は信じられなかったし嬉しかった。
 けどーーー
 前に綾乃が指摘したことが全てだ。
  
「嫌いになったわけじゃない。ただ、佐藤君を好きだったのは昔の私で。本当は気付いてたのに、認めたくなかった。だから佐藤君が結婚するって聞いた時も、素直に良かったって思った」

 え、と呟いた九条が立ち止まる。
「高辻が忘れられへんヤツって、佐藤じゃないの?」

 そういえば、あった。
 真由子が九条アーヴィングに投下した余計なお世話発言。
「ええっと、それは……」
「佐藤じゃないなら誰?俺が知ってるヤツ?」
 詰め寄る九条に逃げ場を失う。

「……言えない。九条くんにだけは、絶対に」


< 114 / 162 >

この作品をシェア

pagetop