この恋、上方修正銘柄です!

9-2

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 翌日午後、錦はカフェのオープンテラス席にいた。潮風がかすかに混じる風が、パラソルを心地よく揺らして通り過ぎていく。
 この辺りは数年前の臨海部再開発事業によって、古い港湾倉庫街からモダンな街並みへと変貌を遂げたエリアだ。

 向かいに座る九条はPCを開き、午後に撮影した写真を使って、もう1時間以上は報告書を作成している。
「本当に仕事だったんだ」 
「あれ、なんか期待してた?」
「……帰る」
「うそうそ、冗談やん。ってことで、メール送信完了っと。はー終わった終わった!お待たせ、ほな行くで」
「どこに?」
「楽しいデートの時間の始まりや」


 九条に連れて来られたのは、臨海公園。
 海沿いのレンガ道をしばらく歩くと、見晴らしの良い埠頭に出た。遠くで客船の汽笛が鳴っている。
「この先の海水浴場、昔、4人で来たよな」
「九条くんに無理矢理水着を買わされて」
「ははっ、あったな、そんなこと。なんか懐かしいなー。若かったし」
 九条は白いフェンスに肘を置いて海を眺めている。
 
 今から思えば、あの時もっとこうしておけば良かったと思うことが沢山ある。
 けれど、今この瞬間だって、未来の自分からすれば、戻りたいと思う時間なのかもしれない。
 だから、伝えておこうと思う。もうこれ以上、後悔しないように。

 振り返った九条が何か言いかけたが、僅かに錦の方が早かった。

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