この恋、上方修正銘柄です!
一瞬、富小路がこちらを見た気がしたが、多分気のせいだろう。そうに違いない。
何かを察しているのは志水くらいで、それとて何か確証を掴まれているわけでもない。その他の同僚に至っては、九条の相手が自分だなどとは思われない謎の自信が錦にはある。
肩を落として散っていく面々を、コピー機にA4用紙を補充しながら眺めていた船岡だったが、
「なるほど、高校の同級生だったんスね。何かあるなとは思ってましたけど」
と、錦に意味ありげな視線を送ると、
「良かったんじゃないんスか、落ち着くところに落ち着いて。最初からファイナルローズは高辻さんで決まってるのに、女子の皆さんお疲れさまでしたっていう。そういう意味ではバチェラー九条、面白かったっスけど」
「船岡、お前……」
志水が珍しく驚いている。
「九条さんが高辻さん狙いなのダダ漏れだったし。ポンコツのフリするのも大変なんスよ。気付いてないのは東山さん位じゃないスか?」
九条と錦が固まっているところに噂の東山が戻って来て。
「ん、何の話?」
「東山さんには関係のない恋バナです」
「えー」
と何だか心ここにあらずの様子で机の上を手早く片付けると、
「すいません、今日早く上がって良いですか?」
「勿論良いけど、珍しいな」
じゃあお先です!とスキップでもしそうな調子で出て行った。
「若宮さんってちゃっかりしてますよねえ。九条さんには早々に見切りつけて東山さんに乗り換えるとか」
「え、東山さんと若宮さんが?」
「船岡、お前……」
「ぶぶっ。志水さん、さっきからそれしか言ってないし」
「さすがレッサーパンダ……腹が黒い」
「変なあだ名付けるのやめてもらえまス?つーか、明日の朝イチに区役所に持っていく資料も出来たことだし、今日は僕らも帰りません?どうせ九条さんたちも早く帰りたいんでしょ」
可愛らしい見た目から大原や大宮くらいに思っていたが、船岡はなかなかの食わせ者らしかった。
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脇が甘いふたり、ってことでw