この恋、上方修正銘柄です!

11-2

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 数日後。錦は日本から遠く離れたロサンゼルスの空の下にいた。
 年に1回取得出来る5連休を来週からに変更して下さい!部長室に駆け込んでそう言った時の、松原の唖然とした顔を思い出す。
 土日を2回含めた9連休。行きの航空券を手配して、亀山を弟に預けた後、名刺を握りしめてロサンゼルスへと飛んだ。

 空港からタクシーでアベル&カンパニーのロサンゼルス支社へ行くと、バケーション中だと告げられた。少し躊躇ったが、日本から来た恋人だと言うと、あっさり住所を教えてくれた。
 対応してくれた女性がこれまた美形だったため、思わず自分の格好を顧みてしまい、メイクを直して眼鏡からコンタクトに変えた。九条の周りには美人が多すぎないか。久しぶりに会うのだから、少しでもマシな自分を見て欲しい。

 メトロ電車を乗り継ぎ、道行く人に尋ねながら、どうにかアパートに辿り着く。アーチ窓がついた赤い外壁のそのアパートは、ドラマでよく見かけるような、古いがお洒落な建物だった。 
 もしも九条が顧客データを盗んでいたのなら、既に部屋はもぬけの殻だという可能性もある。勢いでここまで来てしまったことを少し後悔したが、後戻りは出来ない。
 ポケットの中にある賽子を握りしめ、よしと心を決めて、緊張しながらドアをノックする。と、しばらくしてから扉が開いた。

「Hello?」
 中から顔を出したのは九条ではなかった。
 だが部屋を間違えたのではないと分かったのは、出て来たのがいつかホテルで見たブロンド美女だったからだ。実際正面から見ても、まさにリアルバービー。同棲、というワードが頭をよぎった時、
「What's the matter?」
 奥から聞き覚えのある声がして、九条がひょっこりと顔を覗かせた。
「え、高辻……?ウソやろ……」
 その腕には天使のように可愛らしい幼児が抱かれている。

 死ぬほど逢いたかった男の呆然とする顔を見て分かった。ここに来てはいけなかったのだ。
 日本で待っていろと言われた意味を理解していなかった、自分の致命的なミスだ。

「……ごめん。さよなら」
「え、ちょ……!」
 踵を返して駆け出す。キャリーケースにしようか迷ったが、バッグで来て正解だった。
 ボロボロと涙がこぼれた。手の甲で拭っても拭っても、次から次へ溢れてくる。

 信じたいと思った。信じられると思った。
 その結果がこれだ。
 幸運は等しくやってくる訳ではないのに、愛されていると勘違いをして、浮かれていた。

「高辻、ちょっと待て!ちゃんと説明するから!」
 背後から迫る声を無視し、歩行者を避けながら全速力で走る。昔から短距離走はわりと得意だった。こんな時に役立つとは思わなかったけれど。
 大通りに出てあの人混みに紛れてしまえば逃げられる。そう思った時、腕を掴まれた。

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