この恋、上方修正銘柄です!

 ダークブラウンの髪をしたリアム。
 黒髪は優性遺伝の形質が強いから、親が日本人だと思わなかった。
 そう言われると、確かに甲斐の面影がある。

「オサムから卒業後は日本で働くと聞いた時は驚いた。父の会社に入ると思ってたから。離れてしまったけど、私達の愛は変わらなかった。私も日本に会いに行ったし、1年に1度はオサムもLAに来てくれたから。4年くらい前から、日本で一緒に暮らし始めた。オサムが課長になった時も二人でお祝いをして、その時にプロポーズされた」
 花のような顔が、深い悲哀で曇る。
「その頃からだった、段々と彼の様子がおかしくなったのは。話さなくなったし、笑わなくなった。仕事から帰って来るのはいつも深夜で、土日も家にいない日が続いて。ある日、アメリカに帰れって言われたの。仕事が忙しくて淋しい思いをさせてるからって。私、オサムが帰って来ない理由は仕事じゃなくて、他に好きな人ができたのかもしれない、そう思ってしまって。今思うとそんなこと、あり得ないのに……。帰国してしばらくして、彼の親から訃報を聞いた。あの時、日本に残らなかったこと、今でもずっと後悔してる」
 クロエは声を震わせ、掌で顔を覆った。

「Are you alright? Shall I talk?」 
「It's okay.自分の言葉で、ニシキには伝えたいから……。課長になったオサムから聞いたことがある。部下に頑張ってる女の子がいるって。責任感があって芯が強い子で、でも人付き合いが苦手そうだからフォローしてあげないと、って」
 涙がこぼれた。甲斐はそんな風に思っていてくれたのに。  
「ごめんなさい……私、何も出来なくて……」
 クロエは首を横に振って、
「ニシキもオサムの名誉を守ろうと準備してくれてたこと、ツカサから聞いた。ありがとう。彼も喜んでると思う」

ーーー「いつか恩返ししたい、そう思ってここまで来た」
ーーー「俺、高辻のこと、好きになって良かった」
 あの時の九条の言動全てが腑に落ちた。

< 148 / 162 >

この作品をシェア

pagetop