この恋、上方修正銘柄です!
「クロエ、頼むからヤメて……。高辻、本気にしてるから」
「ふふ、ごめんなさい。ツカサは本当にニシキのことが好きなのね。部屋に二人でいたのは少しの時間だけ。ツカサの友人のサッカー選手が大勢来て大変だったの。みんな酔って泣いてて。最後は全員がアベルとエージェント契約をすることになって。ほんと、ツカサって抜け目ない」
九条はハアと肩で大きく息をして、
「どこまで喋ったか忘れるわ……。そうそう、潜入捜査の話や。そういう経緯で、高辻に聞く前からおおよそのことは既に把握してて。俺も元部長の久我を真っ先に怪しんだけど、調べたらガチの資産家で金には全然困ってなさそうでな。しかも社内不倫の真っ最中で、そっちの方に忙しそうで」
「あんなモラハラのくせに不倫してたんだ……」
「とはいえPC音痴までは分からんかったわ。……高辻文書の存在はマジで参った。しかも昇進したい理由が甲斐さんの無実を証明するためとかもう……尊いが過ぎて全俺が泣いた」
「ツカサったら、これは運命だ!存在が奇跡!俺の女神!って。すごくうるさかったから私、途中で電話置いてたの」
「本当に……?」
見ると九条は赤くなった顔を両手で覆っている。
なにそれ可愛い……きゅんが止まらない。
「……クロエは一旦黙っとこ」
「はいはい」
「ハイは1回で。高辻の視線が痛いから無理くり話戻すけど……久我以外の管理職の大半がまだ本店営業部にいたんも運が良かった。とりあえず俺は情報を集めることにした。男は口が堅いから、女子行員からの話を中心にな」
「それで色んな女の子にマメに声を掛けてたのね!……とは、素直に思えないんですけど。九条くんだから」
「ええー、ホンマやのに……」
「それならそうと言ってくれれば良かったのに」
「そこな。とはいえ高辻を巻き込みたくはなかったし……ほら、嘘が下手やしすぐ顔に出るやろ?っていうより、そもそもアベルと交わした守秘義務があるから言いたくても言えんかった」
守秘義務については銀行員なので身に沁みて分かる。
クロエのことも含め、九条が話せないと言っていたのにはちゃんと理由があったのだ。