この恋、上方修正銘柄です!

「犯人の目星はついたものの、方法がさっぱり分からん。そもそも仕事が忙し過ぎて。高辻とも変な感じになるし……。そんな時や、検査が入ったんは。てっきり何か挙がるんかと思ってたら、まさかのスルー」
「擁護する訳じゃないけど、整合性が取れている取引なら問題ないと見なされるから……」
「うん、それはそれで良かった。終わってホッとしたんやろな、近々絶対やると思った。とはいえ、こっちは手詰まりや。万策尽きたと思ってた時に閃いたんが、高辻から聞いてた休眠口座。前に竹田さんが言ってたやん、鹿ヶ谷が五十日の忙しい時に限って預金の解約を回して来るって。で代筆を疑った俺は、高辻に証拠の伝票探しを手伝ってもらったってワケや」

と急に声を潜めて耳元で艶っぽく、
「ほら……オフィスでヤった日」

「い、言われなくても分かるから!……そ、それで、横領を見逃す見返りに顧客データを要求したの?」
「さっきも言うたけど今はセキュリティが厳しくなったから、甲斐さんの時と同じデータを出して来ると踏んでた。警察庁の幹部候補生にミシガンロスの同期がいてな。細川っていう奴なんやけど今朝連絡があって、解析の結果、甲斐さんのデスクから出たデータと完全に一致したって。横領だけじゃなくて顧客情報の漏洩容疑で鹿ヶ谷に逮捕状が出るのは時間の問題や。これでようやく、甲斐さんの無実を証明出来る」
「ツカサがその連絡をくれて、私、本当に嬉しくて。急いでお礼を言いに来たの」
「で、そのタイミングで高辻も来て、さっきの修羅場や」

 折しも窓の外、キャデラック エスカレードが玄関付近で停車するのが見えた。

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