この恋、上方修正銘柄です!
Lesson3 新たなチームとコンサルタントの秘密

3-1



3-1

 GW明けの水曜日。今朝もいつもの電車に揺られる。
 車窓に映る、眼鏡をかけた自分の顔。
 社会人になってからはコンタクトを着けることが多くなったが、高校時代はずっと眼鏡だった。

□ □ □

「あー、やっと終わった~」
 職員室の扉を閉めた直後、九条はそう言って、うんと伸びをした。
「放課後残って総体の資料作りの手伝いせえなんて、斉藤のヤツ、日直と下僕を混同してるやろ絶対」
「……絶対、中まで聞こえてるし。もしかしてわざと挑発してる?」

 教室の前まで戻って来た時、男子達の会話が聞こえた。
「いや絶対俺のこと好きだろ」
「いやいや、あいつ誰にでもそうだから」
 どっと笑い声。女子の話で盛り上がっているらしい。邪魔をしないようにそっと扉を開けようとした時。
「やっぱ自分よりも背が低いコが良いなー。並んだ時のサイズ感とか、俺の顔を見上げてくる感じとか」
「分かるわ。自分のパーカーとか貸した時に、萌え袖が見たい」
「おま、妄想がリアルで草」

 自分のことを言われている訳ではないことは分かっている。けれど扉を開けることを躊躇ったのは、佐藤のことが頭に浮かんだからで。佐藤もここに居る男子達と同じく、自分より背が高い女子と付き合いたいとは思わないだろう。
 背後の九条に不審がられる前に動かなければ、と思った時。
「ちょっとどいて」
 九条は短くそう言うと、錦の肩を軽く押しやり、教室の扉を勢いよく開けた。

「なになに、女の子の話?俺も混ぜてーや」
「おっ、九条。日直ごくろう」
 九条は手近な机によっと腰をかけると、
「俺なら背なんて関係ないけどなー」
「そりゃお前よりでかいコなんてそうそういねえだろ」
「いや、よしんば俺がチビでもや。高身長のモデル体型とか最高やん。かといって、ぽっちゃりも捨てがたい」
「あはは、何でも良いんじゃん。っていうか九条さ、色んなコと付き合ってるけど、実際のトコ、どこまでヤれんの?」
「まあその辺は相手によるわなー。ヤラセてくれる子にはヤるし、無理そうならガッついてヤるほど不自由してないし。って、なんで俺の暴露大会?」
「いや、武勇伝だろ、羨ま」
「そういや斉藤サンがお前ら呼んでたで。まだ残ってるなら職員室来いって」
「は? まじでだりぃ……」
「俺らもう撤退するわ、今のマジで記憶から消しといて。お疲れ!」

< 24 / 85 >

この作品をシェア

pagetop