この恋、上方修正銘柄です!
飛び出して行く男子と入れ違いに、錦は教室に入った。
九条は机に座ったまま、素知らぬ顔で窓の外を眺めている。
「……どういうつもり?」
「何、俺の下ネタ、もっと聞きたかった?」
「ち、違います!先生が呼んでたって、嘘ついたこと」
「別っつに~」
と、九条は何かを見つけて、あっと声をあげた。
「学年イチの美少女、ツバサちゃん発見!今から走れば追いつけるかな……って、うわ、よう見たら隣におるの5組の下柳やん。あいつ今まで女に興味ないみたいな顔してたくせに。……あかん、手繋いでる!詰んだ……」
ツバサちゃんというのは高等部からの入学組で、サッカー部のマネージャーをしている生徒だ。
窓の外を覗くと、美男美女カップルと遠巻きにざわつく生徒達の姿が見えた。
「あーあ、ショック。憧れのツバサちゃんが下柳なんかのモンになるとは……」
「3年の彼女に慰めてもらったら?」
「ええっと、サキちゃんのこと?先週別れた。……もう俺、明日学校休む」
彼女目当てで入部したサッカー部員は大勢いたようだから、今頃この悲報は部内を駆け巡っているだろう。
小さくて可愛くて、錦が憧れる要素を全部持っている女の子。
「わ、ヤバイ!ちょっとこっち!」
いきなり腕を引っ張られ、カーテンの中に引っ張り込まれ、
「え!?な、なに!?」
「しーっ!」
と、掌で口を塞がれた。
密着具合に焦る錦の事情など九条はまるで関心がないらしい、カーテン越しに注意深く様子を伺っている。と、一人の女子生徒が廊下の窓から教室の中をのぞいて、そのまま行ってしまった。