この恋、上方修正銘柄です!
「とりあえずは理解したけど。私をからかって楽しかった?ほんと悪趣味よね。何が、こう見えても人を見る目はあるから大丈夫、よ」
「うわ、めっちゃ怒ってるし!だからごめんって。色々と複雑な事情がありまして……。それに俺のこと、苦手やったとか言うから。お亡くなり扱いにもされたし」
確かにそれは言った。
「言うとくけど、向こう行ってからも、ずっと連絡したいと思っててんで?けど、渡米してすぐキャリーケースごと携帯パクられてしもて。あーあの時は悲惨やったな……」
「だから連絡して来なかったの?」

「最初はホンマに1年で帰るつもりやってん。けど、向こうで生活してるうちに、自分が何も知らんことに気付いてな。まさに、A big fish in a small pond. 井の中の蛙大海を知らずや。アメリカ人って大阪人以上に自己主張激しいし、車ぶつけても絶対謝らへんし。ああ、世界は広いんやなあって思った。で、生まれて初めて真面目に勉強してみる気になった」
「それでミシガン大学に?」
「ほら高校の時、俺、ピザ屋でバイトしてたやん。たまたまその本社を見つけて採用してもらえたから近所に住むことにしたんやけど、そこから一番近い大学がミシガン大のアナーバー校でな。けどまあ、最初のルームメイトが……あ、言うとくけど男やで、がたまたまミシガン大の院生やったってことが一番デカい」
「たまたまばっかり」
「ホンマにそうやねんもん。俺がここまで来れたんは、その先輩のお陰や。経営学部勧めてくれたんも、MBAの取得目指せって言ってくれたんも、奨学金のコネクション作ってくれたんも、全部その先輩でな。いくら感謝してもし足りひん。俺が大学に入学するのと入れ替わりに大学院を卒業してしもたんやけど。いつか恩返ししたい、そう思ってここまで来た」
懐古する横顔に目を奪われる。こんな表情をする男だっただろうか。