この恋、上方修正銘柄です!
「と、まあその辺の話は追々するとして。そんな具合で進む道は決まったけど、なんしか金がない。日本に帰る旅費もない。ほら、歓迎会の時にも言うたやろ、ロータリー財団からの奨学金とミシガン大の教育ローンでギリギリや。成績が落ちると奨学金が打ち切られるから、もう必死。あんなに勉強したん、生まれて初めてやったわ」
「高校の時にそれ位勉強してたらトップだったかもね」
「少なくともThe die is cast の意味くらい高辻に教えてもらわんくても分かったわ。そういやあの時のダイス、どうした?」
「……捨てた」
「なんやせっかく力作やったのに。そや、写真見る?」
巨木が木陰をつくる青々とした芝生広場。クラシックな赤レンガの校舎に、ゴシック様式の時計塔。
インド、韓国、北欧、アメリカなど、様々な国籍の友人たち。美男美女も多い。この中の何人かは九条の元カノなんだろう。チャペルでフラワーシャワーを浴びている白人男女のカップルなんてモデルみたいだ。
スライドしていく中の一枚に、男の赤ちゃんの写真があった。月齢は4、5ヶ月位、写真館で撮ったと思しき正装スタイル。
白い肌、ダークブラウンの髪に、ヘーゼルアイ。
「まさか……九条くんの隠し子?」
「そうそう、俺の小さい頃にそっくりでな、ってなんでやねん!」
「……九条くんのノリツッコミ、久々に見た」
「さっき言うてた先輩の子や。Liam、リアムって名前。めっちゃ可愛いやろ?」
「これは……確かに可愛い」
目と髪の色から推測するに、先輩というのはイタリア、スペイン、ギリシャ人あたりだろうか。さっきの新郎がそうなのかもしれない。