この恋、上方修正銘柄です!
「で。就業規則を破ってまで強行した、九条くんお勧めのランチがこれ?」
公園のベンチに二人並んで腰掛けて、コンビニのおにぎりをかじる。
「しゃーないやろ、思ったより高辻の仕事が長引いたんやから。次のアポまで時間ないし」
「私のせいなの?」
「え、俺のせいなん?」
「……いえ、私の能力不足です、すみません」
「いやいや、高辻はよう頑張ってると思うで」
「なんなの、この会話……」
さあな、と楽しげに笑った九条が、からかうような顔をして、
「そういやさっき、川端と何喋ってたん?仕事の話、ちゅー感じじゃなかったけど」
「……九条室長には関係のないことです」
「なんでや、俺は上司やで。ほうれんそう、報告連絡相談はビジネスの基本やんか」
「ひょっとして、パワハラ?」
「前から思ってたけど、アイツ、高辻のこと気に入ってるみたいやん。で、正直なところ、どうなん?」
「どうもこうも、どんな人かよく知らないし」
「まあ確かに、高辻好みかというとそうではないわな」
「それ、佐藤君のこと言ってる?」
「別っつにー」
「一人知ってるくらいで全部分かった風なこと言わないで」
「なにそれ、経験豊富ですみたいな言い方、なんか腹立つ」
「そういう意味じゃなくて……!」
そんな不毛な言い合いをしていると、九条のスマホが鳴った。
「あ、富小路さんからや」
ちゃっかり連絡先を交換していたらしい。
「仕事が出来る男は手も早いのね」
「そんなに誉められたら照れるやん。っと、なになに、今度の土曜空いてませんか、何か美味しいもの食べに行きたいです。俺がおごらなアカンやつやん」
今朝の話からすると、待ち切れなくなった富小路が行動に出たということだろう。
「来る者拒まず去る者追わずは今も?」
「Welcome the coming, speed the parting guest . そういうのは高校と同時に卒業した。……悪いけど土曜はアベルの仕事が入ってるから別の機会に、で送信、と」