この恋、上方修正銘柄です!
4-4
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夕方、乾融資課長のデスクに呼ばれた。
「高辻が上げてた稟議書、さっき融資否決で帰って来たぞ」
「やはりそうですか」
傍で読み返していた川端が、
「通したいなら追加担保入れてもらえって。いや、実質的に無理っしょ、コレ」
「どうかしたんですか」
話に加わってきた九条に概要を説明する。
「株式会社カキモト。古くからつきあいのある老舗の会社なんですが、運転資金の継続案件が通らなくて」
「運転資金って短期だよね。何で継続?」
鋭い指摘に苦笑しながら、
「資金を短期のものとして借り入れて、期日が来たらまた新たな融資を受けて前の分を一括返済する。いわゆる運転資金の借り換えが常習化しているんです。短期借入は長期借入より金利が低いので、こういうことになっているようで。店舗と自宅が根抵当に入っているんですが、地価下落の影響で担保価値が下がってしまって。しかもうちの質権は2番目なので、厳しいなとは思ったんですが」
課長は椅子にもたれながら腕を組んで、隣に立つ川端に、
「保証協会付きに変えるしかないか。金利がだいぶ上がるけど」
「了承もらえれば良いんですけど」
「いや、他所も貸さないだろ。明るい材料がなさ過ぎて」
「僕にも見せてもらって良いですか」
どうぞ、と川端が九条に稟議書一式を手渡した。
「融長、ちょっといいか」
部長に呼ばれ、乾が席を立つ。本人不在の課長席で三人集いながら、
「茶缶や海苔缶、日本の伝統工芸の会社か。まあ確かに今時、厳しいでしょうね」
「70才手前。後継者もいないみたいだし、本部からすれば担保不足を口実にして回収にかかりたいってのが本音だろうなあ」
業績が良い時は貸し付け、悪くなったら一括返済を求める。銀行はそうやって財務を健全化して来た。
九条は稟議書に添付してある決算書や資料をパラパラめくっていたが、ふと手を止めた。
「何か気になることでも?」
川端の問いかけに答えず、真剣な表情でじっと考えている。
「……高辻、ここの担当誰?」
「京極課長代理ですけど」
「呼んできて。今から行くで」
「九条さんがですか?というか私も?」
「うん」
「でもこの後、都議会議員に会う予定なんじゃ……」
「東山と志水に任せる!」
バタバタと出て行く二人に川端が、
「行ってらっしゃい……ってあれ、関西弁?」
夕方、乾融資課長のデスクに呼ばれた。
「高辻が上げてた稟議書、さっき融資否決で帰って来たぞ」
「やはりそうですか」
傍で読み返していた川端が、
「通したいなら追加担保入れてもらえって。いや、実質的に無理っしょ、コレ」
「どうかしたんですか」
話に加わってきた九条に概要を説明する。
「株式会社カキモト。古くからつきあいのある老舗の会社なんですが、運転資金の継続案件が通らなくて」
「運転資金って短期だよね。何で継続?」
鋭い指摘に苦笑しながら、
「資金を短期のものとして借り入れて、期日が来たらまた新たな融資を受けて前の分を一括返済する。いわゆる運転資金の借り換えが常習化しているんです。短期借入は長期借入より金利が低いので、こういうことになっているようで。店舗と自宅が根抵当に入っているんですが、地価下落の影響で担保価値が下がってしまって。しかもうちの質権は2番目なので、厳しいなとは思ったんですが」
課長は椅子にもたれながら腕を組んで、隣に立つ川端に、
「保証協会付きに変えるしかないか。金利がだいぶ上がるけど」
「了承もらえれば良いんですけど」
「いや、他所も貸さないだろ。明るい材料がなさ過ぎて」
「僕にも見せてもらって良いですか」
どうぞ、と川端が九条に稟議書一式を手渡した。
「融長、ちょっといいか」
部長に呼ばれ、乾が席を立つ。本人不在の課長席で三人集いながら、
「茶缶や海苔缶、日本の伝統工芸の会社か。まあ確かに今時、厳しいでしょうね」
「70才手前。後継者もいないみたいだし、本部からすれば担保不足を口実にして回収にかかりたいってのが本音だろうなあ」
業績が良い時は貸し付け、悪くなったら一括返済を求める。銀行はそうやって財務を健全化して来た。
九条は稟議書に添付してある決算書や資料をパラパラめくっていたが、ふと手を止めた。
「何か気になることでも?」
川端の問いかけに答えず、真剣な表情でじっと考えている。
「……高辻、ここの担当誰?」
「京極課長代理ですけど」
「呼んできて。今から行くで」
「九条さんがですか?というか私も?」
「うん」
「でもこの後、都議会議員に会う予定なんじゃ……」
「東山と志水に任せる!」
バタバタと出て行く二人に川端が、
「行ってらっしゃい……ってあれ、関西弁?」