この恋、上方修正銘柄です!

5-3

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 印刷した稟議書に担当印を押し、決算書や謄本など必要な添付書類をつけてクリップではさみ、最終のセルフチェックをする。
 現在九条はこの書類待ちだ。
「なあなあ。倍返しだ!みたいなのって、実際あるのか?」
 都市創生タスクフォースの面々を見回しながら九条が尋ねた。
「九条さんって何気に銀行系のドラマ観てまスよね」
「ここに来る前に色々予習してきた」
「ははっ、何ですかそれ」
「あとさ、現金が1円でも合わないと夜中まで帰れないとか、あれって都市伝説?」

 ちょうど近くを通りかかった預金課長の堺が会話に加わってきて、
「いやいや、まさか。今はシステム化されたおかけで人為的なミスが減って原因特定もしやすくなったが、1円に対する厳格なスタンスは変わってないぞ。昔は手作業での現金計算や伝票処理が主流だったからな。しょっちゅう違算があったし、それこそ全員で伝票やゴミ箱ひっくり返して終電まで探したもんだよ」
「そうなんですね。まさにドラマ通り」
 次長の鹿ヶ谷も同調してきて、
「そうそう、15時以降の預金課は毎日が戦場みたいでしたもんね。為替が閉まって、そこから一日の集計をして、伝票の精査や諸届けの処理。支店だと本店行きの便が出る時間に追われて、バッタバタだったな。高辻さんは知ってる?」
「いえ、私はちょうど過渡期だったようで」

 同年代の二人は過去の銀行あるあるで盛り上がりながら、給湯室の方に行ってしまった。
 今でも充分大変なのに今以上とか、アナログ時代の銀行員じゃなくて良かったと思う。

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