この恋、上方修正銘柄です!
Lesson6 夏休みとパーティーの夜
6-1

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「ねね、あれ、九条君じゃない?」
3階の教室から窓の外を見ていた女子生徒が近くの友人に声を掛ける。
「え?どこどこ?」
「ほら、校門のところ。誰か待ってるのかな」
覗いてみると、ハイトーンカラーの髪をした制服姿の九条が見えた。
「あ、こっち見た」
錦に気付いた九条がおっす、と手をかざす。
「ごめん、先帰るね」
「え、高辻さん?」
鞄にテキストを詰め込んで、急いで教室を後にした。
校門前の日陰は少なく、アスファルトの照り返しと街路樹の蝉の声が暑さを倍増させる。
「良かったんか、出て来て」
あぢ~、とシャツをパタパタしながら九条が尋ねた。
「どうせ自習だったから。それよりどうしたの、夏休みに学校来るとか。しかもその髪」
「三者面談の補習。放置してたら学校から直接親に連絡が行ったらしい。夏休みやからホワイトブロンドにしたのに、おかげで進路指導の斉藤にめっちゃ睨まれたわ」
「お父さんは?」
「新幹線の時間があるから先に帰った。はー、まいったまいった」
以前、父親とはうまくいっていないと九条は言っていた。今日の面談がどうだったのか、聞いて良いものかどうか迷っていると、
「え、九条じゃん!」
声を掛けて来たのは、いわゆる一軍男女のグループで。苦手意識から思わず半歩下がる。
「珍しくね?夏休み学校来るとか」
「なんか今聞いたばっかり、そのセリフ。デジャヴ?」
「あ、そういえば俺、昨日ユリに会ったんだけど。ほら、九条の元カノの。あんな大騒ぎしてたのに妊娠してなかったらしいよ。マジで命拾いしたな」
「命拾いも何も、俺、ゴム装着率200%やもん。セーフティセックスは基本やで」
元カノの、という辺りから両耳を塞がれてよく聞こえなかった。手をどけた九条に、
「なに?」
と不審な目で尋ねたが、ハハハと笑ってごまかされた。
「吏くーん、久しぶりー!その髪色良すぎない!?マジで似合ってる!」
女子の一人に後ろからドンと押されて、思わずよろめく。
「あ、ごめんねえ。今からみんなで遊びに行くんだけど、吏君も一緒に行くでしょ?おいでよ〜!」
九条に対してのあからさまな好意と、錦に対する陰湿な敵意を持って声をかけてきたのは、かつていじめの首謀者だった女子だった。
彼女がファッション誌の読者モデルに選ばれたと聞いた時は、写真では腹黒さは映らないから、と納得したものだ。
女子はともかく男子には人気がある。前に九条も可愛いと言っていたのを思い出す。
早く消えろと言わんばかりの圧に押され。
「じゃあ、私は」
帰るねと言う前に、いきなり肩を引き寄せられた。