この恋、上方修正銘柄です!
「ムリ。これから高辻とデートやから」
「うわマジでこのカップリング熱い!絶対マンガで読んだやつじゃん!」
「小川には絶対バレないようにうまくやれよー?」
一瞬、その女子にすごい顔で睨まれてビクッとしたが、錦の肩を抱いたままもう片方の手を振る九条を見て、何も言わずに行ってしまった。
「……アイツなんやろ。昔、高辻いじめてたヤツ」
固い声に、え、と見上げた九条の横顔は、何だかすごく怒っているようで。
「小川とつきあってなかったら、適当に遊んで捨ててやるんやけど」
「……本気?」
手を離し両手をポケットに入れ、駅に向かって歩き出す九条を慌てて追った。
自分の代わりに怒ってくれるのは嬉しいけれど。
「九条くんが悪く言われるようなこと、しなくて良いから!」
立ち止まった九条は焦る錦を見て、二、三度瞬きした後、
「なにそれキュンときた」
「は、はい?」
「あー、あんなゲスい女より高辻の方が一億倍可愛いわ。小川にフラれたら俺、高辻と付き合う」
なんだかスゴイことを言われたような気がするが、九条の冗談を一々真に受けていたら心臓が持たないので、
「ええっと、ありがとう?」
「……おう」
チリンチリンと後ろからベル音が聞こえた。
近づいて来る自転車に振り向いた錦の左に、九条はさり気なく移動すると、今度は車道側を歩き始めた。