ひとりぼっちの上司と私

 びっくりした。しつこく誘われずに済んでよかったけど……結局なんだったの。

 雄馬にとって、私は『彼女ガチャ失敗した』と言いたくなるほどの最悪な彼女だったわけでしょ?

 それを今になって友達だなんて言われても、こっちはとっくに心を閉じている。もしも逆の立場で私が今地元に帰ったとしても、雄馬と会おうなんて発想は一ミリも浮かばない。

 顔も見たくないし声も聞きたくないし、なんなら他の誰かが彼のことを話題に出すのさえ受け付けないかもしれない。

 ……って。こういう負の感情に支配されるのが嫌だから、彼のことは考えないようにしているのに……どうして今さら目の前に現れたりなんか。

 気を取り直して駅に向かうけれど、胸の中には小さなしこりが残ったままだった。


【うわっ。アンコウが釣れるようになってる。これは鍋かな、季節柄】

 パソコンのモニターに、ヤスダさんの発言が吹き出し付きで現れる。

 彼の両手には、ゆうメロらしくかわいいデフォルメされたアンコウが抱えられている。

 私たちは約束通りの時間に波止場で待ち合わせ、釣りを始めていた。

【お料理機能、なかなか解放されないですねー……要望多いと思うのに】

 本当なら彼との会話を心から楽しみたかったのに、私はどこかゲームに入り込めず、楽しげな返事が返せない。

 釣り竿が反応を示しても、操作のタイミングが遅れて魚を取り逃がしてばかりだった。

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