ひとりぼっちの上司と私
「あの、どうしました……?」
『いや、いちいちチャットを打つのがまどろっこしくなってな。電話で直接愚痴を言ってもらった方が早いなと。もちろん、加納がよければだが』
彼の落ち着いた低い声を聞いて、胸がきゅ、と甘い痛みを覚える。
せっかくゲームに誘ってもらったのに上の空でいる私に、怒るでも呆れるでもなく、愚痴を聞くために電話をかけてきてくれるなんて……。
「ありがとうございます。でも、申し訳ないです。ゆうメロって基本癒やされるために遊ぶものなのに、私の個人的な愚痴で須田さんの貴重な時間が潰れてしまうと思うと」
『……そんなことより、俺は今腹が立ってる。元カレって、彼女ガチャ云々と言っていた身勝手な男だろう? 今さら会いに来て一緒に飲みたがるなんて意味不明だし、たとえなにか理由があったとしても、ろくでもないに決まってる。断って正解だ』
電話越しの須田さんが、私よりもよほど雄馬に恨みがありそうな口調で彼を罵る。
ずっと胸の辺りで停滞していたどす黒い感情が、少しずつ薄くなっていく。