ひとりぼっちの上司と私
「よく考えたら、彼、新しい恋人だっているはずなんですよね。SNSに写真載せていたのをを見たんです。それなのに、元カノを飲み会に誘うって……やっぱり、どうかしてますよね」
『ああ。どっちの気持ちも踏みにじってるうえ、それに気づいていない大バカ無神経男だな』
大バカ無神経男……。単純でわかりやすいその響きに、思わずクスクス笑ってしまう。
それに、私以上に怒ってくれる人がいるおかげか、だいぶ胸の中がすっきりした。
「その大バカ無神経男のために、いつまでも悩んでいるのが馬鹿らしくなってきました」
『ああ。そういうヤツの人間性は簡単には変わらないだろう。なんで、どうして、ってつい考えてしまいたくなるが、加納の大切な時間や感情を彼に支配されるのはもったいない。お前の人生はお前のものなんだからな』
力強く、それでいて深い優しさを感じさせる声で諭され、私の胸は熱くなった。
彼は単に、元カレのことで悩む必要はないと言ってくれているだけ。
だけど、どうしても過去の私に聞かせてあげたくなる。上京と転職、そして、雄馬のことで悩んでいた私にそっと、〝自分の人生は自分のものだよ〟って――。
周りに理解してくれる人がいなかった当時の彼女は、きっと救われるはずだから。