ひとりぼっちの上司と私

 心の中で繰り返し唱えながらも、凛とした横顔に目が釘付けになってしまう。

「いや、別に、用というほどのことは……」
「だったらお引き取りください。あなたが昨日もここへ来たことは彼女に聞いています。今後もつきまとうつもりなら、警察を呼んで然るべき対処をしてもらいますので。……行くぞ、莉々」

 初めて下の名前で呼ばれ、こんな状況だというのにドキドキしてしまう。須田さんはすぐに返事ができずにいた私の手を取ると、指を絡ませて深く握り、雄馬の前を離れる。

 彼の手は想像していたよりずっと、大きくて温かい。

 素直に嬉しい反面、いきなり手を繋がれた驚きも相まって、顔から火が出そうなほど恥ずかしい。

 しばらく彼に手を引かれるまま歩き、人通りの多い駅前、ハム公の前を通りかかったタイミングで、遠慮がちに彼の手くい、と引っ張る。

「あ、あの……そろそろ手を離しても大丈夫かと……」

 雄馬は追ってきていないし、これだけ人の多い場所で堂々と手を繋ぐのはさすがに心臓が持たない。

 須田さんはハッとしたような顔をして、すぐに手を離してくれる。

 それから気まずそうに、首の後ろを撫でた。

「ごめん。あの場ではああするしかないと思って、許可も得ずに……」
「いえっ、まったく気にしないでください! 本当に困っていたので助かりました。ちょうど帰られるところだったんですか?」

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