ひとりぼっちの上司と私
じわじわと頬に熱が集まる感覚の中、須田さんのまっすぐな視線が私を射貫く。
そんなに見ないでくださいと言いたいけれど、彼に見つめられるのを望んでいる自分もいて、心の中がぐちゃぐちゃだ。
「……やっぱり、手は繋いでおこうか」
ふわりと、手と手が重なる感覚がした。
雄馬に見せつけるためではないからだろうか。今度はあからさまな恋人繋ぎではなく、彼らしい優しさが伝わるような握り方だ。
トクトクと、鼓動が速まっていく。
「で、でも。電車のホーム、反対ですし」
「あんなことがあった後で今日は心配だし、家まで送る。ちなみに、上司としての義務感とかじゃなく、俺がそうしたいからするんだ。だから、遠慮は不要だ」
「……は、はい」
有無を言わせぬ雰囲気に押され、私は思わずうなずいてしまった。
上司としての義務感ではない……。俺がそうしたいからする……?
必死で頭を回転させてその意味を考えるけれど、〝須田さんと手を繋いで一緒に帰る〟という状況に混乱した頭では、彼の本心などまったく予想がつかなかった。