ひとりぼっちの上司と私

「〝きっといる あなたのワガママ 愛せる人〟――だって。これは僕向けとは言えないアドバイスだなぁ。……ん? このミニブックは」

 ラインナップの種類や、商品の説明、注意事項。今さらじっくりと読む内容ではないだろうに、社長はなぜか真剣な顔でジッと文字を追っている。

「社長? まさか、今頃誤字脱字があったとかじゃないですよね……?」
「……ああごめん、大丈夫だ。さて、加納さんもやってごらん」

 ミニブックを丁寧に折りたたんでポケットにしまった彼が、私にもレバーを回すよう促す。

 言われるがまま、社長と交代するようにして私もガチャマシーンの前に立った。

 カチカチカチ、と音がした後で取り出し口にカプセルが吐き出される。開封に少し手間取っていると社長が「開けてあげる」と手を貸してくれる。

 カプセルから出てきた瓶の中では、愛らしいセキセイインコがラブレターをくわえていた。

 私がおみくじを黙読する脇で、社長も内容を声に出す。

「〝守りたい 笑顔があるなら 即行動〟――いいね。この、背中を押される感じ。今のきみの気持ちにも合ってるんじゃない?」
「えっ?」

 私の気持ち……?

 ぽかんとしていると、社長がにっこり微笑んだ。

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