ひとりぼっちの上司と私

「先週の金曜日、手を繋いで帰っていくきみたちを、この部屋から見たんだ。あんなに必死な須田は初めて見たよ。最近はちょっとからかうだけですーぐ赤くなるし、青春してるなぁって微笑ましくなる」

 顔から火が出るかと思った。

 そういえば、あの時駆けつけてくれる前の須田さんは、社長と一緒にいたんだっけ……。

「みっ、見てらっしゃったんですね。でもあれはそういうのじゃなくて、しつこい元カレを須田さんが追い払ってくれたというだけなんです」
「本当に? じゃあ、事態が収まった頃には、上司と部下に戻って別々に帰ったのかな?」
「そ、それは……」
「ははっ。ごめんごめん、ちょっとからかっただけだ。きみを呼んだ理由は、そんな話をするためじゃない。これ、見てくれる?」

 社長がデスクから一枚の書類を取り、私に差し出す。

 すぐさま受け取って、内容に目を通した。メールをプリントアウトしたもののようだ。

「大規模展示会『ガチャ愛炸裂フェスティバル』開催のお知らせ。……すごい、これにタイニーポケットも呼ばれてるんですか?」

 全国各地から、企業の規模を問わずカプセルトイメーカーが一堂に会し、人気商品や新商品の展示や販売をするというイベントが、年明けの一月中旬に開催されるらしい。

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